アメリカ疾病予防管理センター

アメリカ疾病予防管理センター
CDCのロゴ
組織の概要
設立年月日1992年10月27日
継承前組織
  • Office of National Defense Malaria Control Activities (1942)
  • Office of Malaria Control in War Areas (1942–1946)
  • Communicable Disease Center (1946–1967)
  • National Communicable Disease Center (1967–1970)
  • Center for Disease Control (1970–1980)
  • Centers for Disease Control (1980–1992)
管轄アメリカ合衆国連邦政府
本部所在地ジョージア州アトランタ
人員15,000
年間予算$88億米ドル (2008)
行政官
  • アン・シューチャット, MD (RADM, USPHS)(疾病予防管理センター所長代行及び­毒物疾病登録局局長代行)
上位組織保健福祉省

アメリカ疾病予防管理センター(アメリカしっぺいよぼうかんりセンター、: Centers for Disease Control and Prevention、略称: CDC[1])は、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタにある保健福祉省所管の感染症対策の総合研究所

公式の日本語訳は無く、本項の項目名の他にも米疾病対策センター[注釈 1]疾患予防管理センター疾患対策予防センター防疫センターなど、実に様々に呼ばれている。日本の厚生労働省や厚生労働省検疫所が発表している文章中でも訳語は統一されていない[2][3]。CDCの発表している日本語文献中ではもっぱら略称のCDCを用いている[4]。本項では以下CDCで統一する。

概要

CDCは1946年に創設され、アメリカ国内・国外を問わず人々の健康と安全の保護を主導する立場にあるアメリカ合衆国連邦政府の機関である。健康に関する信頼できる情報の提供と、健康の増進が主目的である。結核など脅威となる疾病には国内外を問わず駆けつけ、調査・対策を講じる上で主導的な役割を果たしている[5]

本センターより勧告される文書は非常に多くの文献やデータの収集結果を元に作成・発表されるため、世界共通ルール(世界標準)と見なされるほどの影響力を持ち、実際に日本・イギリスなどでも参照・活用されている。未知のウイルスや感染症などを題材にした映画小説に登場することが多い。

極端に致死率の高いバイオセーフティーレベル4(BSL-4)[6]に対応できるのは、レベル4実験室(P4、BSL-4、PC4、MCLなどとも呼ばれる[7])だけで、CDCにあるものがそのひとつである。

エボラウイルスなどバイオハザードへの対策については世界中がCDCに依存している。また危険なウイルスの保存もしており、自然界で撲滅が確認された天然痘ウイルスを公式に保管している機関は、ここCDCとロシア国立ウイルス学・生物工学研究センターだけである[8]

ちなみにCDCでは生物兵器として利用される可能性が高い病原体のリスクの格付けを行っている。カテゴリーA、B、Cの3段階で評価されており、最も危険度・優先度の高いカテゴリーAの病原体として、エボラウイルスなどの出血熱ウイルス・天然痘ウイルス・炭疽菌ペスト菌ボツリヌス菌野兎病菌を挙げている。

また、これらの疫病の媒介となるなどの害虫駆除の方法や規制についても詳細にわたり示している[9]

海外にも地域事務所を置いており、2024年2月現在、ブラジル、ジョージア、オマーンベトナム日本に拠点がある[10]

組織

アトランタ本部
  • 本部: アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ(州都)、クリフトン・ロード
  • 支部: ワシントンD.C.コロラド州ペンシルベニア州など合衆国各地及び諸外国
  • 下部組織: 国立感染症センター (NCID)、国立ヒト免疫不全ウイルス・性感染症・結核予防センター (NCHSTP)、国立慢性疾患予防・健康増進センター (NCCDPHP)、国立労働安全衛生研究所 (NIOSH)、国立出生異常・発達障害センター (NCBDDD)、国立環境衛生センター (NCEH)、国立衛生統計センター (NCHS)、国立傷害予防管理センター (NCIPC)、国立予防接種プログラム (NIP)、疫学プログラム・オフィス (EPO)、公衆衛生実践プログラム・オフィス (PHPPO)、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)

職員数

CDCガイドライン

  • 血管カテーテル由来感染予防のためのCDCガイドライン
  • 医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン
  • MRSAVREの院内伝播防止のためのSHEAガイドライン
  • 医療保健施設における環境感染制御のためのCDCガイドライン
  • 歯科医療現場における感染制御のためのCDCガイドライン
  • う蝕予防のためのフッ化物の利用におけるCDCガイドライン[11]
  • 医療ケア関連肺炎防止のためのCDCガイドライン
  • サーベイランスのためのCDCガイドライン
  • その他

出版物

  • Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)(罹患率・死亡率週報):CDCの広報誌で,新興感染症や法定伝染病などの感染拡大状況がいち早く掲載される.

情報サービス

CDCでは、CDC Newsroom[12]、MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report)[13][14]、Health Information for Travelers[15]等の情報をメールマガジンハイパーテキスト形式で配信している。

最新の治験・研究の情報やアメリカ合衆国各地で、どの疾病がどの程度発生しているかといった詳しい内容を迅速に知ることができる貴重な情報源であり、報道のニュースソースになっている[14]

エピソード

2011年5月21日、当時アメリカ合衆国の一部で広まっていた「世界の終末が近い」というデマに呼応して、公式ブログに「たとえ『ゾンビによる世界の終末』が来ようとも、備えることはできる」という防災アドバイスを、ユーモアを交えて掲載した[16]

登場作品

クロスオーバーエピソード 病原にて 人喰いバクテリアの拡大を防ぐためCDCに連絡する場面がある

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 日本のマスメディア(印刷媒体)における一般的表記。放送メディアでは「アメリカのCDC=疾病対策センター」などとする。
  2. ^ 取扱説明書では本文中に「アトランタはCDC(アメリカ疾病予防管理センター)The Centers for Disease Control and Prevention)の本拠地になります。」とある。

出典

  1. ^ “米、オミクロン株98% 過去最多140万人感染”. 産経ニュース (2022年1月12日). 2022年1月12日閲覧。
  2. ^ Googleによる厚生労働省のサイト内検索結果
  3. ^ Googleによる厚生労働省検疫所のサイト内検索結果
  4. ^ CDC Resources in Languages Other than English
  5. ^ 国際安全衛生センター アメリカ疾病対策予防センター
  6. ^ エボラウイルスマールブルグウイルスラッサウイルスBウイルスヘンドラウイルスニパウイルスなど
  7. ^ 霊長類フォーラム:人獣共通感染症(第95回)4/11/00
  8. ^ http://www.cnn.co.jp/usa/35050584.html
  9. ^ http://www.cdc.gov/westnile/faq/mosquitocontrol.html pest control
  10. ^ 合田禄 (2024年2月6日). “米CDCが日本に事務所新設、感染症に素早く対応 米国外6カ所目”. 朝日新聞. 2024年2月6日閲覧。
  11. ^ Centers for Disease Control and Prevention website, "Water Fluridation", page accessed March 9, 2007
  12. ^ CDC Newsroom[1]
  13. ^ MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report)[2]
  14. ^ a b (財)国際医学情報センターMMWR抄訳
  15. ^ Travelers' Health
  16. ^ “「世界の終末予言」が広がる米国の疾病対策センター、ユーモラスな「防災のすすめ」”. AFP BB News. (2011年5月21日). https://www.afpbb.com/articles/-/2801572?pid=7245342 2015年9月22日閲覧。 

関連項目

外部リンク

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