ホンダ・シルクロード

シルクロードSILK ROAD) は、かつて本田技研工業が製造販売していたオートバイである。

概要

1981年3月13日発表、同月14日発売[1]。型式名L250S[注 1]。輸出名称CT250S。いわゆるデュアルパーパスモデルであるが、オフロードでの走破性を重視したタイプではなく、オン-オフ問わず扱いやすさや積載性を重視したツーリング指向を高めた軽二輪(普通自動二輪車)である。

  • 本田技研工業は本モデルと同年にリリースされたCT110[2]TL125Sイーハトーブ[3]に対してトレッキング バイク[注 2]としてカテゴライズ。オートバイによる雄大な自然をゆったりとツーリングする新しい楽しみ方を提唱した。

車名は、シルクロードのもつ壮大な夢とロマンにあやかったものである[注 3]

1984年に製造中止。製造担当 浜松製作所

車両解説

本モデルは1980年から製造されていたロードスポーツCB250RSをベースに、エンジン、車輪、サスペンション、ブレーキ、タンク、シートなどの部品を変更する事によりトレッキングバイクCT250Sとして派生させた車両であり、エンジンは型式名から判るように1978年から発売されていたXL250SのL250SE型排気量248ccの空冷4ストローク4バルブSOHC単気筒エンジン[注 4]をベースとしてCT250S専用設計とされたものが搭載されている[注 5]。車体型式としてはXL250Sと同系列であるが、CT250Sのフレーム及びスイングアーム形状はベース車両のCB250RSのものと酷似しており、トレールモデルとして23インチの前輪を採用しステアリングヘッド位置が極端に高いフレームのXL250Sとは、エンジン以外の共通点は全く無い。独自の新機構である“スーパーロー・ギア”を設定。通常の1速(ロー・ギア)よりさらに変速比が大きいため駆動力がきわめて強く、登坂路(登坂能力約30度)、ぬかるみ、 砂地などで抜群の威力を発揮する。また、このスーパーロー・ギアと5速ミッションとがあいまって不整地、悪路、舗装路、ハイウェイにいたる広範囲の走行が可能である。

以下の変更を実施した[1]

  • シングルシート+大型キャリアを採用(タンデムステップ標準装備)
  • ヘッドライトにH4ハロゲンバルブ(60/55w)を採用
  • キャブレータをPD70からPD10へ変更
  • 2軸バランサーを1軸バランサーへ変更
  • フロントホイールを18インチから19インチへ大径化し、油圧式ディスクブレーキをワイヤー式ドラムブレーキへ変更
  • マニュアルトランスミッションを5段からCT250S専用ギア比のスーパーロー付6段へ変更
  • 鉄製スキッドプレート、フロントフォークブーツを採用
  • 低速での連続運転を想定し、インシュレーターの熱対策としてベークライト製ヒートインシュレーターを追加
  • プライマリーキック式始動を廃止しセルフスタータを搭載(搭載エンジンは元来セルフスタータ装着の想定がなされておらず、本モデルとほぼ同時に発売されたCB250RS-Z[6]同様に後付けのピニオンギア飛び込み式セルフスターターを採用)
  • 耐久性に優れたグリース封入タイプドライブチェーンを採用
  • タンデムシート・センタースタンド・エンジンガードをオプション設定
ホンダ・シルクロード  
CT250S
基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
車体型式 L250S
エンジン L250SE型 248 cm3 4ストローク
内径×行程 / 圧縮比 74.0 mm × 57.8 mm / 9.3:1
最高出力 20ps/7,500rpm
最大トルク 2.0kg-m/6,000rpm
乾燥重量 131 kg
車両重量 141 kg
      詳細情報
製造国 日本の旗 日本
製造期間 1981年 - 1984年
タイプ デュアルパーパス
設計統括
デザイン
フレーム ダイヤモンド
全長×全幅×全高 2,140 mm × 915 mm × 1,125 mm
ホイールベース 1,390 mm
最低地上高 225 mm
シート高 775 mm
燃料供給装置 キャブレターPD10 28mm
始動方式 セルフ
潤滑方式 圧送式飛沫式併用
駆動方式 チェーン
変速機 常時噛合6段リターン
サスペンション テレスコピック
スイングアーム
キャスター / トレール 28°30'° / 105 mm
ブレーキ 機械式リーディングトレーリング
機械式リーディングトレーリング
タイヤサイズ 3.00-19-4PR
3.50-18-4PR
最高速度
乗車定員 2人
燃料タンク容量 11 L
燃費 50 km/L
カラーバリエーション セラミックホワイト
本体価格 \338,000円
備考 スペックは1981年モデル[1]
先代
後継
姉妹車 / OEM CB250RS(Z) ,XL250S
同クラスの車
テンプレートを表示
XL250S・シルクロードギア比比較
車名 XL250S シルクロード
スーパーロー   3.666
1速 2.800 2.352
2速 1.850 1.590
3速 1.375 1.240
4速 1.111 1.000
5速 0.900 0.838
1次減速比 2.379
最終減速比 3.785 3.642

上述のようにツーリング目的に特化させたオートバイともいえる。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 1980年以降の同社製造新型二輪車はアルファベット2文字+2桁数字の型式が付与されていた(本モデルの場合ならMD**とされる)。しかし本モデルは1978年から製造されていたXL250Sをベースにした共通設計モデルのためL250Sの型式が付与された。
  2. ^ トレッキング(TREKKING):英語で本来は「牛車でゆっくりとをする 骨の折れる旅行をする」の意味であるが、スポーツ用語として「山歩きやスキーの平地滑走など、主として健康とレクリエーションのために行う歩行運動」「自然めぐり」に転じた。
  3. ^ 1980年代前半の日本では、NHK特集 シルクロードの影響もあり、シルクロードが急激に注目を集めた時期でもある。日産・キャラバンワゴンSGLで1981年7月に追加された特別仕様車のグレード名称にも使用されたほか、1980年の年間ヒットチャート2位を記録した久保田早紀(現・久米小百合)の楽曲「異邦人」ではシルクロードのテーマがサブタイトルとして附帯する。
  4. ^ L250SE型エンジンは1980年に発売されたCB250RSに搭載されたMC02E型とも基本設計を共有するほか[4]、 ベースとなったXL250SがXL250Rへモデルチェンジした際に一部設計を変更してMD03E型となった[5]
  5. ^ 本田技研工業が発行した本モデルのサービスマニュアルはMC02型CB250RS/RS-Zと共通であり、p3の「はじめに」に「CB250RSと類似又は重複する内容ついてはCB250RSの項参照という方法で削除してありますのでご了承ください」の記載がある。またメインフレーム外側にあるリヤスイングアームピボット・イグニッションコイル配置・ステップ固定方法などからCB250RS/RS-Zとフレーム各部の構造は共通であり、第20章にはCB250RS-ZとCT250Sの諸元表および整備数値各項目が並記される。さらに本モデルと型式名が共通で母体となったXL250Sには本モデルオプションのセンタースタンドは装着不可であることから、これらのモデルは基本設計を共有するもののそれぞれに微妙な差異がある。

出典

  1. ^ a b c 1981年3月13日プレスリリース
  2. ^ 1981年10月1日プレスリリース
  3. ^ 1981年4月22日プレスリリース
  4. ^ 1980年2月27日プレスリリース
  5. ^ 1981年11月19日プレスリリース
  6. ^ 1981年3月18日プレスリリース

関連項目

外部リンク

  • 本田技研工業公式HP 2輪製品アーカイブ Silk Road
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