フィル・リズート

フィル・リズート
Phil Rizzuto
1953年
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区
生年月日 (1917-09-25) 1917年9月25日
没年月日 (2007-08-13) 2007年8月13日(89歳没)
身長
体重
5' 6" =約167.6 cm
160 lb =約72.6 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 遊撃手
プロ入り 1937年
初出場 1941年4月14日
最終出場 1956年8月16日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
アメリカ野球殿堂
殿堂表彰者
選出年 1994年
選出方法 ベテランズ委員会選出
この表について
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プロジェクト:野球選手  ■テンプレート

フィリップ・フランシス・リズートPhilip Francis Rizzuto, 1917年9月25日 - 2007年8月13日)は、1940~1950年代に活躍した元プロ野球選手内野手)。アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市生まれ。右投げ右打ち。

出生時の名前はフィエロ(Fiero)。イタリア系アメリカ人で、イタリア語の発音ではリッツートが近い。

ニックネームは"Scooter"スクーター)。170cmに満たない小柄な選手ながら、機敏な守備と勝負強いバッティングで、ヤンキースの7度のワールドシリーズ制覇に貢献した。

経歴

現役時代

ブルックリンの路面電車の運転手の息子として生まれる。通っていたリッチモンドヒル高校では野球のほかにフットボールもしていた。1937年にアマチュアのフリーエージェントとしてニューヨーク・ヤンキースと契約し、1941年にメジャーにデビューする。後のベースボールカードの記載によれば、リズートは身長が5フィート6インチ(約168cm)と小さすぎるために、ブルックリン・ドジャースが彼の入団を拒否したのだという。リズートは1年目に打率.307を記録しただけでなく、遊撃手としてリーグ最多の109の併殺を記録し守備能力の高さもアピールする。2年目の1942年にはオールスターゲーム出場選手に選出され、またワールドシリーズでは1本の本塁打を含む21打数8安打の活躍を見せた。

1943年から4年間は第二次世界大戦で海軍に従軍したため現役を中断、1947年に現役復帰する。1949年シーズンには169安打、110得点を記録し同年のMVP投票でテッド・ウィリアムズ(レッドソックス)に次ぐ次点となり、翌1950年に打率.324、200安打、125得点を記録、アメリカンリーグの最優秀選手となった[1] 。リズートはこの時期打撃面で目立った活躍をする一方、1949年から1952年までの4年間続けてリーグ最多の犠打数を記録しており、この時期のワールドシリーズ連覇に不可欠な存在だった。

1956年に38歳で現役を引退。引退時には遊撃手として1217併殺を記録しており、当時遊撃手の併殺歴代1位だったルーク・アップリング(ホワイトソックス)の1424併殺に次ぐ記録だった。

引退後

引退後は1957年から1995年までの38年間ヤンキース戦の中継解説者・アナウンサーを担当、"Unbelievable!"、"Holy Cow!"、"Did you see that!?"等の名調子で知られた。リズートが中継を担当した試合の中には、ロジャー・マリスがシーズン61号本塁打を放った試合や、パインタール事件が起きた試合などが含まれている。1995年に解説者活動の引退を表明するが、これには同年逝去した後輩のミッキー・マントルの葬儀に試合中継のため参列できなかったことが理由とされている。それでも後進のアナウンサーたちには、リズートは『ヤンキースの声(The Voice of The Yankees)』と称えられた。

リズートの背番号「10」。
ニューヨーク・ヤンキースの永久欠番に1985年指定。

1985年、ヤンキースはリズートの背番号10』を永久欠番に指定した。その前年(1984年)にライバルとされたブルックリン・ドジャースの名遊撃手だったピー・ウィー・リースが殿堂入りした(彼も小柄な遊撃手で、現役引退後長く試合中継に従事するなど、経歴もリズートと似ていた)こともあり、永久欠番指定後もヤンキースファンによるリズートの殿堂入りのキャンペーンが熱を帯びた時期があった。テッド・ウィリアムズも支持者の一人としてリズートの殿堂入りを後押ししたという。リズートがベテランズ委員会によりアメリカ野球殿堂入り選手に選出されたのは1994年のことである。

2007年8月13日に肺炎のため89歳で死去。逝去当時はリズートがもっとも長く生きたヤンキース永久欠番選手だった。翌日のヤンキース対オリオールズの試合はリズートの追悼試合とされ、ヤンキースタジアムに半旗が掲げられるほか、残りのシーズン試合にてヤンキースナインは喪章としてヤンキースのユニフォームの左袖に「10」がつけられた。

詳細情報

年度別打撃成績

















































O
P
S
1941 NYY 133 548 515 65 158 20 9 3 205 46 14 5 5 -- 27 -- 1 36 13 .307 .343 .398 .741
1942 144 613 553 79 157 24 7 4 207 68 22 6 10 -- 44 -- 6 40 13 .284 .343 .374 .718
1943 試合出場なし
1944
1945
1946 126 518 471 53 121 17 1 2 146 38 14 7 7 -- 34 -- 6 39 10 .257 .315 .310 .625
1947 153 623 549 78 150 26 9 2 200 60 11 6 9 -- 57 -- 8 31 6 .273 .350 .364 .714
1948 128 539 464 65 117 13 2 6 152 50 6 5 13 -- 60 -- 2 24 6 .252 .340 .328 .668
1949 153 712 614 110 169 22 7 5 220 65 18 6 25 -- 72 -- 1 34 18 .275 .352 .358 .711
1950 155 735 617 125 200 36 7 7 271 66 12 8 19 -- 92 -- 7 39 6 .324 .418 .439 .857
1951 144 629 540 87 148 21 6 2 187 43 18 3 26 -- 58 -- 5 27 10 .274 .350 .346 .696
1952 152 673 578 89 147 24 10 2 197 43 17 6 23 -- 67 -- 5 42 9 .254 .337 .341 .678
1953 134 506 413 54 112 21 3 2 145 54 4 3 18 -- 71 -- 4 39 6 .271 .383 .351 .734
1954 127 369 307 47 60 11 0 2 77 15 3 2 18 2 41 -- 1 23 7 .195 .291 .251 .541
1955 81 181 143 19 37 4 1 1 46 9 7 1 13 0 22 1 3 18 2 .259 .369 .322 .691
1956 31 65 52 6 12 0 0 0 12 6 3 0 7 0 6 0 0 6 1 .231 .310 .231 .541
通算:13年 1661 6711 5816 877 1588 239 62 38 2065 563 149 58 193 2 651 1 49 398 107 .273 .351 .355 .706
  • 各年度の太字はリーグ最高

表彰 

  • シーズンMVP:1回 1950年

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ “168cmアルテューベ、史上最小に並ぶMVP”. 日刊スポーツ. (2017年11月17日). https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/201711170000305.html 2020年2月27日閲覧。 

外部リンク

  • Baseballhalloffame.org(英語)アメリカ野球殿堂National Baseball Hall of Fame)による紹介
  • 選手の通算成績と情報 Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
 
獲得タイトル・記録
アメリカンリーグMVP
チャルマーズ賞
リーグ表彰
1930年代
1940年代
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
1940年代
  • 49 ジョー・ペイジ(英語版)
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
 
ニューヨーク・ヤンキース ワールドシリーズ ロースター (7回)
ニューヨーク・ヤンキース 1941年のワールドシリーズ ロースター

2 レッド・ロルフ / 3 ジョージ・セルカーク / 5 ジョー・ディマジオ / 6 ジョー・ゴードン / 7 トミー・ヘンリッチ / 8 ビル・ディッキー / 9 チャーリー・ケラー / 10 フィル・リズート / 12 バディ・ロサール / 15 レッド・ラフィング / 19 ジョニー・マーフィー / 20 タイニー・ボーナム / 21 スパッド・チャンドラー / 22 マリウス・ルソー / 24 マーブ・ブロイヤー / 27 フレンチー・ボルダガライ / 28 アットレイ・ドナルド / 34 ジョニー・スターム
監督 ジョー・マッカーシー

ニューヨーク・ヤンキース 1947年のワールドシリーズ ロースター

1 スナッフィー・スターンワイス / 3 アリー・クラーク / 5 ジョー・ディマジオ / 6 ボビー・ブラウン / 8 アーロン・ロビンソン / 10 フィル・リズート / 11 ジョー・ページ / 14 ルニー・フレイ / 15 トミー・ヘンリッチ / 16 ビル・ピーペンス / 20 スペック・シェイ / 21 スパッド・チャンドラー / 22 アリー・レイノルズ / 24 ビリー・ジョンソン / 27 ジョニー・リンデル / 29 シャルム・ローラー / 34 ボボ・ニューサム / 35 ヨギ・ベラ / 36 ジャック・フィリップス / 38 カール・ドレウス / 42 ブッチ・ウェンスオフ / 43 ビック・ラッシー / 50 ラルフ・ハウク / 51 ジョージ・マックイーン
監督 37 バッキー・ハリス

ニューヨーク・ヤンキース 1949年のワールドシリーズ ロースター

1 スナッフィー・スターンワイス / 5 ジョー・ディマジオ / 6 ボビー・ブラウン / 7 クリフ・メープス / 8 ヨギ・ベラ / 10 フィル・リズート / 11 ジョー・ページ / 14 ジーン・ウッドリン / 15 トミー・ヘンリック / 17 ビック・ラッシー / 22 アリー・レイノルズ / 24 ビリー・ジョンソン / 25 ハンク・バウアー / 27 ジョニー・リンデル / 28 トミー・バーン / 29 チャーリー・シルバー / 30 エド・ロパット / 36 ジョニー・マイズ / 38 ガス・ニアルホス / 42 ジェリー・コールマン
監督 37 ケーシー・ステンゲル

ニューヨーク・ヤンキース 1950年のワールドシリーズ ロースター

5 ジョー・ディマジオ / 6 ボビー・ブラウン / 7 クリフ・メープス / 8 ヨギ・ベラ / 10 フィル・リズート / 14 ジーン・ウッドリン / 17 ビック・ラッシー / 19 ホワイティー・フォード / 22 アリー・レイノルズ / 24 ビリー・ジョンソン / 25 ハンク・バウアー / 26 トム・フェリック / 30 エド・ロパット / 36 ジョニー・マイズ / 38 ジョニー・ホップ / 40 ジャッキー・ジェンセン / 41 ジョー・コリンズ / 42 ジェリー・コールマン / 52 トム・モーガン
監督 37 ケーシー・ステンゲル

ニューヨーク・ヤンキース 1951年のワールドシリーズ ロースター

1 ビリー・マーチン / 5 ジョー・ディマジオ / 7 ミッキー・マントル / 8 ヨギ・ベラ / 9 ボビー・ブラウン / 10 フィル・リズート / 11 ジョニー・セイン / 12 ギル・マクドゥガルド / 14 ジーン・ウッドリン / 17 ビック・ラッシー / 21 ボブ・クザバー / 22 アリー・レイノルズ / 25 ハンク・バウアー / 30 エド・ロパット / 35 ジョー・オストロフスキー / 36 ジョニー・マイズ / 38 ジョニー・ホップ / 40 ボビー・ホーグ / 41 ジョー・コリンズ / 42 ジェリー・コールマン / 52 トム・モーガン
監督 37 ケーシー・ステンゲル

ニューヨーク・ヤンキース 1952年のワールドシリーズ ロースター

1 ビリー・マーチン / 7 ミッキー・マントル / 8 ヨギ・ベラ / 9 ハンク・バウアー / 10 フィル・リズート / 11 ジョニー・セイン / 12 ギル・マクドゥガルド / 14 ジーン・ウッドリン / 17 ビック・ラッシー / 18 レイ・スカボロー / 21 ボブ・クザバー / 22 アリー・レイノルズ / 24 トム・ゴーマン / 25 アーヴ・ノーレン / 30 エド・ロパット / 32 ラルフ・ハウク / 36 ジョニー・マイズ / 40 ユーエル・ブラックウェル / 41 ジョー・コリンズ
監督 37 ケーシー・ステンゲル

ニューヨーク・ヤンキース 1953年のワールドシリーズ ロースター

1 ビリー・マーチン / 7 ミッキー・マントル / 8 ヨギ・ベラ / 9 ハンク・バウアー / 10 フィル・リズート / 11 ジョニー・セイン / 12 ギル・マクドゥガルド / 14 ジーン・ウッドリン / 15 ジョー・コリンズ / 16 ホワイティー・フォード / 17 ビック・ラッシー / 18 ジム・マクドナルド / 21 ボブ・クザバー / 22 アリー・レイノルズ / 24 トム・ゴーマン / 25 アーブ・ノーレン / 30 エド・ロパット / 36 ジョニー・マイズ / 38 アート・シャロック / 45 ドン・ボールウェグ
監督 37 ケーシー・ステンゲル

ニューヨーク・ヤンキース
球団
歴代本拠地
文化
永久欠番
ワールドシリーズ優勝(27回)
ワールドシリーズ敗退(13回)
リーグ優勝(40回)
できごと
傘下マイナーチーム
ヒコックベルト(全米最優秀アスリート賞)
1950年代
1960年代
1970年代
2010年代
2020年代
1977年から2011年まで中断
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