リーヴァイ・ウッドベリー

リーヴァイ・ウッドベリー
Levi Woodbury
アメリカ合衆国連邦最高裁判所陪席判事
任期
1845年9月23日 – 1851年9月4日[1]
ノミネート者ジェームズ・K・ポーク
前任者ジョセフ・ストーリー(英語版)
後任者ベンジャミン・ロビンス・カーティス(英語版)
第13代アメリカ合衆国財務長官
任期
1834年7月1日 – 1841年3月4日
大統領アンドリュー・ジャクソン
マーティン・ヴァン・ビューレン
前任者ロジャー・トーニー
後任者トマス・ユーイング
第9代アメリカ合衆国海軍長官
任期
1831年5月23日 – 1834年6月30日
大統領アンドリュー・ジャクソン
前任者ジョン・ブランチ
後任者マーロン・ディカーソン
第9代ニューハンプシャー州知事
任期
1823年6月5日 – 1824年6月3日
前任者サミュエル・ベル(英語版)
後任者デヴィッド・モリル(英語版)
アメリカ合衆国上院議員
ニューハンプシャー州選出
任期
1841年3月4日 – 1845年11月20日
前任者ヘンリー・ハバード(英語版)
後任者ベニング・ジェネス(英語版)
任期
1825年3月16日 – 1831年3月3日
前任者ジョン・ファビアン・パロット(英語版)
後任者アイザック・ヒル(英語版)
個人情報
生誕 (1789-12-22) 1789年12月22日
アメリカ合衆国 ニューハンプシャー州フランシスタウン(英語版)
死没 (1851-09-04) 1851年9月4日(61歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューハンプシャー州ポーツマス
政党民主共和党 (1825年以前)
民主党 (1828年–1851年)
配偶者エリザベス・ウッドベリー
教育ダートマス大学 (BA)
リッチフィールド法学校 (英語版)
署名

リーヴァイ・ウッドベリー(Levi Woodbury, 1789年12月22日 - 1851年9月4日)は、アメリカ合衆国政治家裁判官1823年から1824年まで第15代ニューハンプシャー州知事を務め、さらに1831年から1834年まで第9代アメリカ合衆国海軍長官を、1834年から1841年まで第13代アメリカ合衆国財務長官を務めた。

生涯

レヴィ・ウッドベリーの肖像画

青年時代

1789年、ウッドベリーはニューハンプシャー州フランシスタウン(英語版)で生まれた。ウッドベリーは1809年ダートマウス大学を卒業し、コネチカット州リッチフィールドの法学大学院で法律を学んだ。その後1812年にニューハンプシャー州から弁護士の認可を受けた。

議会議員時代

ウッドベリーは1816年から1823年までニューハンプシャー州最高裁判所の判事を務め、1823年から1824年までニューハンプシャー州知事を務めた。1825年にはニューハンプシャー州下院議員に選出され、議長を務めた。その後1825年から1831年までニューハンプシャー州からアメリカ合衆国上院議員を務めた。

ウッドベリーは連邦議会の上院議員として、また民主党ジャクソン派の政治家として、高い信頼を勝ち得た。

海軍長官時代

1831年アンドリュー・ジャクソン大統領はウッドベリーをアメリカ合衆国海軍長官として任命した。 ウッドベリーは海軍長官として、アメリカ海軍の財政政策の方向性を定め、穏和な改革を施した。穏和な改革の具体例としては、鞭による罰の撤廃や酒類の消費削減が挙げられるが、その効果はほとんどなかった。またウッドベリーは、アメリカ海軍の存在を東洋に知らしめて、合衆国の通商拡張を支援しようとも考えた。

財務長官時代

1834年アンドリュー・ジャクソン大統領はウッドベリーをアメリカ合衆国財務長官に任命した。その後ウッドベリーは、マーティン・ヴァン・ビューレン大統領の任期満了となる1841年まで、7年近くにわたって財務長官を務めた。

財務長官に就任したウッドベリーは、まず1833年に特許更新を事実上拒否された第二合衆国銀行の残務処理を行い、過去の債務返済を試みた。そして1835年の好況に支えられた関税収入の増加と公有地の売却収益のため財務収入が好調となり、債務完済を実現した。政府は余剰資金を国内開発に振り向けるべきであると判断し、1836年6月にはそのための法案が成立した。財務省は翌1837年1月から総額約3700万ドルに及ぶ余剰金を各州へと配分しはじめたが、各預託銀行から政府資金が引き出されたために、各地で著しい金融逼迫が生じた。

だがウッドベリーは、基本的に財務省は財政運営のみに関わればよく、その結果として発生する金融的諸問題には責任がないと考えていた。そのため当時の財務省は政府の政策の結果生じた金融逼迫の状態を解決しようとする意図は全く持っていなかった。

過剰な金融逼迫に危険を感じたウッドベリーがようやく重い腰を上げたのは、1837年の春になってからであった。ウッドベリーは財務省紙幣の発行によって金融市場の救済に乗り出したが、この頃にはもはや手遅れであり、合衆国は1837年恐慌[:en]へと至ることになった。

ウッドベリーは当初、ジャクソン大統領の主張する小さな政府を支持していた。しかしながら第二合衆国銀行の廃止によって中央銀行の統制力が失われた結果、紙幣の流通量は急激な増加を見せ、1837年に地価の急激な下落を伴う経済恐慌が発生した。

1829年には4800万ドルであった紙幣流通量が、1837年には1億5000万ドルへと膨れ上がっていた。ウッドベリーは市中銀行にある連邦政府の資金は財務省の手によって安全な方法で管理する必要があると認識し、政府資金を財務省が独自に管理する独立国庫制度の創設を主張し、1840年にその法案は議会を通過した。この法律の大部分はウッドベリーの退任後の1841年に撤廃されたが、ウッドベリーのこの試みは1846年に再び制定された独立国庫制度の基礎となり、その後の合衆国の資金管理に大きな影響を与えた。

裁判官時代

財務長官退任後、ウッドベリーは再びアメリカ合衆国上院議員となった。1844年の大統領選挙では、ウッドベリーをはじめとするジャクソン派はジェームズ・ポークを民主党の候補者として支持し、勝利を収めた。そして1845年にポークが大統領に就任すると、ポークはウッドベリーをアメリカ合衆国連邦最高裁判所陪席判事に任命した。

1851年、ウッドベリーは最高裁判所陪席判事の在任中にニューハンプシャー州ポーツマスで死去した。ウッドベリーの遺体は同市内のハーモニー・グロウヴ墓地に埋葬された。

アイオワ州ウッドベリー郡およびアメリカ合衆国海軍の艦船ウッドベリーは、ウッドベリーにちなんで名づけられた。

参考文献

  1. ^ “Justices 1789 to Present”. Washington, D.C.: Supreme Court of the United States. 2022年2月15日閲覧。

外部リンク

  • United States Congress. "リーヴァイ・ウッドベリー (id: W000711)". Biographical Directory of the United States Congress (英語).
  • 海軍歴史センター (2000年4月15日). “US People--Woodbury, Levi, Secretary of the Navy, 1831-1834.” (HTML) (英語). アメリカ合衆国海軍省. 2008年5月15日閲覧。
  • Secretaries of the Treasury - Levi Woodbury - アメリカ合衆国財務省の公式サイト[1]内の、ウッドベリーの紹介ページ(英語)
公職
先代
サミュエル・ベル
ニューハンプシャー州知事
1823年 - 1824年
次代
デイヴィッド・モリル
先代
ジョン・パーロット
ニューハンプシャー州選出のアメリカ合衆国上院議員
1825年 - 1831年
次代
デイヴィッド・モリル
先代
ジョン・ブランチ
アメリカ合衆国海軍長官
1831年5月23日 - 1834年6月30日
次代
マーロン・ディカーソン
先代
ロジャー・トーニー
アメリカ合衆国財務長官
1834年7月1日 - 1841年3月3日
次代
トマス・ユーイング
先代
ヘンリー・ハバード
ニューハンプシャー州選出のアメリカ合衆国上院議員
1841年 - 1845年
次代
ベニング・ジェンネス
先代
ジョセフ・ストーリー
アメリカ合衆国最高裁判所陪席裁判官
1845年9月23日 - 1851年9月4日
次代
ベンジャミン・カーティス
  • ウェア(英語版)
  • ラングドン
  • サリバン
  • ラングドン
  • サリバン
  • J・バートレット
  • ギルマン(英語版)
  • ラングドン
  • J・スミス(英語版)
  • ラングドン
  • プルマー(英語版)
  • ギルマン(英語版)
  • プルマー(英語版)
  • S・ベル(英語版)
  • ウッドベリー
  • モリル(英語版)
  • ピアース(英語版)
  • J・ベル(英語版)
  • ピアース(英語版)
  • ハーヴェイ(英語版)
  • ハーパー(英語版) (代行)
  • ディンスモア・シニア(英語版)
  • バジャー(英語版)
  • ヒル(英語版)
  • ペイジ(英語版)
  • ハバード(英語版)
  • スティール(英語版)
  • コルビー(英語版)
  • ウィリアムズ(英語版)
  • ディンスモア・ジュニア(英語版)
  • マーティン(英語版)
  • ベイカー(英語版)
  • メトカーフ(英語版)
  • ハイレ(英語版)
  • グッドウィン(英語版)
  • ベリー(英語版)
  • ギルモア(英語版)
  • F・スミス(英語版)
  • ハリマン(英語版)
  • スターンズ(英語版)
  • ウェストン(英語版)
  • ストロー(英語版)
  • ウェストン(英語版)
  • チェイニー(英語版)
  • プレスコット(英語版)
  • ヘッド(英語版)
  • C・ベル(英語版)
  • ヘイル(英語版)
  • カリアー(英語版)
  • ソーヤー(英語版)
  • グッデル(英語版)
  • タトル(英語版)
  • J・B・スミス(英語版)
  • ビュシエル(英語版)
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  • H・スポールディング(英語版)
  • トビー(英語版)
  • ワイナント(英語版)
  • ブリッジズ(英語版)
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  • ブラッド(英語版)
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  • J・スヌヌ
  • J・グレッグ
  • ハフ(英語版) (代行)
  • メリル(英語版)
  • シャヒーン(英語版)
  • ベンソン(英語版)
  • リンチ(英語版)
  • ハッサン(英語版)
  • モース(英語版) (代行)
  • C・スヌヌ(英語版)
Seal of the United States Department of the Treasury
 
  1. ジョン・ジェイ (1789–1795(英語版)判例(英語版))
  2. ジョン・ラトリッジ (1795(英語版)判例(英語版))
  3. オリバー・エルスワース (1796–1800(英語版)判例(英語版))
  4. ジョン・マーシャル (1801–1835(英語版)判例(英語版))
  5. ロジャー・B・トーニー (1836–1864(英語版)判例(英語版))
  6. サーモン・P・チェイス (1864–1873(英語版)判例(英語版))
  7. モリソン・ワイト(英語版) (1874–1888(英語版)判例(英語版))
  8. メルヴィル・フラー(英語版) (1888–1910(英語版)判例(英語版))
  9. エドワード・ダグラス・ホワイト (1910–1921(英語版)判例(英語版))
  10. ウィリアム・ハワード・タフト (1921–1930(英語版)判例(英語版))
  11. チャールズ・エヴァンズ・ヒューズ (1930–1941(英語版)判例(英語版))
  12. ハーラン・F・ストーン (1941–1946(英語版)判例(英語版))
  13. フレッド・M・ヴィンソン (1946–1953(英語版)判例(英語版))
  14. アール・ウォーレン (1953–1969(英語版)判例(英語版))
  15. ウォーレン・E・バーガー(英語版) (1969–1986(英語版)判例(英語版))
  16. ウィリアム・レンキスト (1986–2005(英語版)判例(英語版))
  17. ジョン・ロバーツ (2005–現職判例(英語版))
 
  1. J・ラトリッジ* (1790–1791)
  2. クッシング (1790–1810)
  3. ウィルソン (1789–1798)
  4. ブレア (1790–1795)
  5. アイアデル (1790–1799)
  6. T・ジョンソン (1792–1793)
  7. パターソン (1793–1806)
  8. S・チェイス (1796–1811)
  9. ワシントン(英語版) (1798–1829)
  10. ムーア(英語版) (1800–1804)
  11. W・ジョンソン(英語版) (1804–1834)
  12. リビングストン (1807–1823)
  13. トッド(英語版) (1807–1826)
  14. デュバル(英語版) (1811–1835)
  15. ストーリー(英語版) (1812–1845)
  16. トンプソン (1823–1843)
  17. トリンブル(英語版) (1826–1828)
  18. マクレーン (1829–1861)
  19. ボールドウィン(英語版) (1830–1844)
  20. ウェイン(英語版) (1835–1867)
  21. バーバー(英語版) (1836–1841)
  22. カトロン(英語版) (1837–1865)
  23. マッキンレー(英語版) (1838–1852)
  24. ダニエル(英語版) (1842–1860)
  25. ネルソン(英語版) (1845–1872)
  26. ウッドベリー (1845–1851)
  27. グリア(英語版) (1846–1870)
  28. カーティス(英語版) (1851–1857)
  29. キャンベル(英語版) (1853–1861)
  30. クリフォード (1858–1881)
  31. スウェイン(英語版) (1862–1881)
  32. ミラー(英語版) (1862–1890)
  33. デイヴィス(英語版) (1862–1877)
  34. フィールド(英語版) (1863–1897)
  35. ストロング(英語版) (1870–1880)
  36. ブラッドリー(英語版) (1870–1892)
  37. ハント(英語版) (1873–1882)
  38. J・M・ハーラン(英語版) (1877–1911)
  39. ウッズ(英語版) (1881–1887)
  40. マシューズ(英語版) (1881–1889)
  41. グレイ(英語版) (1882–1902)
  42. ブラッチフォード(英語版) (1882–1893)
  43. L・ラマー(英語版) (1888–1893)
  44. ブルーワー(英語版) (1890–1910)
  45. ブラウン(英語版) (1891–1906)
  46. シラス(英語版) (1892–1903)
  47. H・ジャクソン(英語版) (1893–1895)
  48. E・ホワイト* (1894–1910)
  49. ペッカム(英語版) (1896–1909)
  50. マッケナ(英語版) (1898–1925)
  51. ホームズ (1902–1932)
  52. デイ (1903–1922)
  53. ムーディ (1906–1910)
  54. ラートン(英語版) (1910–1914)
  55. ヒューズ* (1910–1916)
  56. ヴァン・ドヴァンター(英語版) (1911–1937)
  57. J・ラマー(英語版) (1911–1916)
  58. ピツニー(英語版) (1912–1922)
  59. マクレイノルズ(英語版) (1914–1941)
  60. ブランダイス (1916–1939)
  61. クラーク(英語版) (1916–1922)
  62. サザーランド(英語版) (1922–1938)
  63. バトラー(英語版) (1923–1939)
  64. サンフォード(英語版) (1923–1930)
  65. ストーン* (1925–1941)
  66. O・ロバーツ(英語版) (1930–1945)
  67. カードーゾ (1932–1938)
  68. ブラック (1937–1971)
  69. リード(英語版) (1938–1957)
  70. フランクファーター (1939–1962)
  71. ダグラス(英語版) (1939–1975)
  72. マーフィー(英語版) (1940–1949)
  73. バーンズ (1941–1942)
  74. R・ジャクソン (1941–1954)
  75. W・ラトリッジ(英語版) (1943–1949)
  76. バートン(英語版) (1945–1958)
  77. クラーク(英語版) (1949–1967)
  78. ミントン(英語版) (1949–1956)
  79. J・M・ハーラン2世(英語版) (1955–1971)
  80. ブレナン (1956–1990)
  81. ウィテカー(英語版) (1957–1962)
  82. スチュワート(英語版) (1958–1981)
  83. B・ホワイト (1962–1993)
  84. ゴールドバーグ(英語版) (1962–1965)
  85. フォータス(英語版) (1965–1969)
  86. T・マーシャル (1967–1991)
  87. ブラックマン (1970–1994)
  88. パウエル(英語版) (1972–1987)
  89. レンキスト* (1972–1986)
  90. スティーブンス (1975–2010)
  91. オコナー (1981–2006)
  92. スカリア (1986–2016)
  93. ケネディ (1988–2018)
  94. スーター (1990–2009)
  95. トーマス (1991–現職)
  96. ギンズバーグ (1993–2020)
  97. ブライヤー (1994–2022)
  98. アリート (2006–現職)
  99. ソトマイヨール (2009–現職)
  100. ケイガン (2010–現職)
  101. ゴーサッチ (2017–現職)
  102. カバノー (2018–現職)
  103. バレット (2020–現職)
  104. K・ジャクソン (2022–現職)
*首席判事も務めた人物
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