ピーター・ボニントン

ピーター・ボニントン
Peter Bonnington
生誕 (1975-02-12) 1975年2月12日(49歳)
イギリスの旗 イギリス
国籍 イギリスの旗 イギリス
職業 自動車技術者 (F1)
著名な実績ルイス・ハミルトンのレースエンジニア (2013年 - )
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ピーター・ボニントン(Peter Bonnington、1975年2月12日 - )は、イギリスの自動車技術者であり、自動車レースのフォーミュラ1(F1)のエンジニアとして知られる。通称は「ボノ」(Bono)[1]

経歴

2000年代初めにジョーダン・グランプリでデータエンジニアとしてキャリアを始め、ジョルジオ・パンターノティモ・グロックとともに働いた[2]

2006年ブラックリー(英語版)ホンダ・レーシング・F1(HRF1)に移籍し、当時ジェンソン・バトン担当のレースエンジニアだったアンドリュー・ショブリンの下、パフォーマンスエンジニア(データエンジニア)を務めた[3]2009年にチームがブラウンGPとなった際も留まり、バトンのワールドチャンピオン獲得に貢献したトラックサイドエンジニアの一人となる[3][注釈 1]

2010年にチームがメルセデスのワークスチームになると、新たにチームに加入したミハエル・シューマッハのパフォーマンスエンジニアになり、2011年に前任のマーク・スレード(フィンランド語版)がチームを離脱したことに伴い、シューマッハのレースエンジニアに昇格した[4]

2012年シーズンの終了とともにシューマッハは引退し、ボニントンは翌2013年にチームに加入したルイス・ハミルトンのシニア・レースエンジニアとなり、10年後の2023年現在も同職を務めている。

シニア・レースエンジニアの役職は、担当ドライバー(ハミルトン)とのサーキットにおけるやりとり全般と、車両のセットアップ全てに責任を負っている。ボニントンは、レースエンジニアとして、ハミルトンのメルセデスチームにおける6回のチャンピオン獲得全てに貢献している[5]

ハミルトンとの関係

ボノには信じられないくらい感謝してる。彼と素晴らしい旅をしてきているし、おそらく僕らは同じドライバーとエンジニアの組み合わせでF1史上最長の関係になるんじゃないかと思うけど、そうじゃないとしても、非常に長く続いてる関係だし、僕の成功にとって彼は不可欠の存在だよ。[1][6]

—ルイス・ハミルトン(2022年)

ボニントンは、2013年以降、10シーズン以上に渡ってルイス・ハミルトンのレースエンジニアを務めている[6]。これは同じドライバーとレースエンジニアの組み合わせとして、F1史上でも最長だと考えられている[1][6]

長い付き合いであることから、ハミルトンからの信頼も厚く、ハミルトンはボニントンのことを「兄弟のような存在」だと述べている[1][6]

レース中の無線でハミルトンと交信しているのは基本的にボニントンであり、後述の「ハンマータイム」や「Get in there, Lewis」[注釈 2]というボニントンが使うフレーズは、F1の国際中継でも流されることから、ファンには広く知られている[5]

ハンマータイム

ハンマータイム / ハマータイム」(Hammer time)は、ボニントンがレースの勝負どころでハミルトンに「今こそ全開走行する時だ」と伝える時に使用するフレーズである[6]

ハミルトンはこれを思いついたのは自分だと明かしている[1][6]。当初、ボニントンはそうしたタイミングで「今がプッシュする時だぞ」(Now it’s time to push)という言い回しをしていた[1][6]。これはレース中の無線で広く使われている決まり文句ではあったが、ハミルトンからしてみれば「なんだよ、今だってプッシュしているぞ!」と言い返したくなり、ボニントンに対しての苛立ちを感じてしまうというところに不満があった[1][6]

そこで、ハミルトンは「今こそ全力を出す時だ」ということを言いたい時は「ハンマータイム」と言うようボニントンに提案し、それが定着した[6]。ボニントンはハミルトンに全力を発揮させたい時はシンプルに「ハンマータイムだ!」(It's Hammer Time!)と言うようになり、このボニントンの無線音声はテレビ中継でも頻繁に流されたことから有名になった。

なお、このフレーズはハミルトン(Hamilton)のF1における3文字表記「HAM」と、M.C.ハマー(Hammer)が1990年にリリースしたヒップホップポップラップ曲の『ユー・キャント・タッチ・ディス(英語版)』中の有名なフレーズ[注釈 3]に由来する[1]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 同年限りでチームを去ったバトンは、ホンダとブラウンGPのピットで信頼関係を構築したトラックサイドエンジニアとして、レースエンジニアのショブリンと並んで、データエンジニアのボニントンの名を特に挙げている[3]
  2. ^ ハミルトンが優勝した時や予選でポールポジションを確定させた時にボニントンが使っている。
  3. ^ 「Hammer time」というフレーズ自体は以前から存在したが、この歌の歌詞から「Hammer time」は有名なキャッチフレーズとなり、以降、様々な媒体で引用されるようになった。

出典

  1. ^ a b c d e f g h Luke Smith (2022年11月11日). “ハミルトン、女房役ボニントンとの”攻撃開始”の合言葉「ハマータイム」が生まれたウラ話を語る”. Motorsport.com. 2023年2月23日閲覧。
  2. ^ Dhruv George (2019年6月11日). “Who is Peter ‘Bono’ Bonnington, the Man Behind the Success of Lewis Hamilton” (英語). Essentially Sports. Full Spectrum Services LLP. 2023年2月23日閲覧。
  3. ^ a b c Jonathan Noble (2010年1月16日). “Q & A with Jenson Button” (英語). Autosport. 2023年2月23日閲覧。
  4. ^ Jonathan Noble (2011年8月26日). “Michael Schumacher gets new race engineer at Mercedes” (英語). Autosport. 2020年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月23日閲覧。
  5. ^ a b James Galloway (2020年11月18日). “Lewis Hamilton: Peter Bonnington exclusive on F1 champion's qualities” (英語). Sky Sports (Sky UK). 2023年2月23日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i “Hamilton says engineer Pete Bonnington is ‘like a brother to me’ as they gear up for 11th season together” (英語). Formula1.com (2023年1月14日). 2023年2月23日閲覧。

参考資料

配信動画
  • Mercedes-AMG Petronas Formula One Team - YouTubeチャンネル
    • What Does an F1 Race Engineer ACTUALLY Do? Bono & Riki EXPLAIN! (英語). Mercedes-AMG Petronas Formula One Team. 23 May 2020.
  • Sky Sports F1 - YouTubeチャンネル
    • Peter Bonnington reveals the secrets behind his hugely-successful partnership with Lewis Hamilton (英語). Sky Sports F1. 19 November 2020.
ドイツの旗 メルセデスAMGペトロナス
2010年 - 現在
ワークスチーム
チーム首脳
  • オーストリアの旗 トト・ヴォルフ (チーム代表 / MGP社CEO / 共同オーナー)
  • ドイツの旗 マーカス・シェーファー(ドイツ語版) (MGP社監査役会会長 / メルセデス・ベンツ・グループ取締役{開発部門責任者})
主なスタッフ
元関係者
現在のドライバー
過去のドライバー
車両
現在のスポンサー
関連組織
1994年 - 現在
エンジン/PU供給
関係者
  • イギリスの旗 ハイウェル・トーマス (マネージングディレクター)
  • ドイツの旗 マーカス・シェーファー(ドイツ語版) (HPP社取締役会会長 / メルセデス・ベンツ・グループ取締役{開発部門責任者})
元関係者
供給先
関連組織
1952年 - 1955年
ワークスチーム
主な関係者
主なドライバー
F1用車両
スポーツカー
  • 300SL(英語版) (W194)
  • 300SLR (W196S)
関連組織
関連項目
※役職等は2024年2月時点。 ※太字のドライバーはメルセデスにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。
イギリスの旗 ブラウンGP
首脳
チーム関係者
ドライバー
テスト/リザーブドライバー:
※太字はブラウンGPにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。
車両
スポンサー
関連項目
日本の旗 ホンダF1
第五期
2026年 -
パワーユニット供給
主な関係者

(TBD)

第五期



供給先
関連組織
HRC
2022年 - 2025年
パワーユニット供給
主な関係者
元関係者
供給先
関連組織
第四期
2015年 - 2021年
パワーユニット供給
主な関係者
第四期
供給先
関連組織
第三期
2006年 - 2008年
ワークスチーム

2000年 - 2008年
エンジン供給
主な関係者
日本の旗 本田技研工業
  • 日本の旗 福井威夫
  • 日本の旗 和田康裕(英語版)
  • 日本の旗 村松慶太(英語版)
日本の旗 本田技術研究所
イギリスの旗 HRD※1
イギリスの旗 HRF1※1
第三期


ドライバー
テスト/リザーブドライバー:
車両
主なスポンサー
エンジン供給先
関連組織
HRD
1998年 - 1999年
試作・試走のみ
主な関係者
車両
関連組織
無限ホンダ
1992年 - 2000年
エンジン供給
主な関係者

エンジン
供給先
関連組織
本田技術研究所
1991年 - 1994年
試作・試走のみ
主な関係者
  • 日本の旗 橋本健
  • 日本の旗 瀧敬之介
車両
  • RC1 (RC-F1 1.0X)
  • RC1B (RC-F1 1.5X)
  • RC2 (RC-F1 2.0X)
関連組織
第二期
1983年 - 1992年
エンジン供給
主な関係者
第二期
エンジン
供給先
関連組織
関連項目
第一期
1964年 - 1968年
ワークスチーム
主な関係者
日本の旗 本田技研工業
日本の旗 本田技術研究所
イギリスの旗 ホンダ・レーシング
第一期
ドライバー
テスト/リザーブドライバー:
車両
主なスポンサー
関連組織
関連項目
関連項目
※ 第2期・第3期・第4期の「主な関係者」は、基本的に各部門の「長(ディレクター)」以上にあたる人物のみに絞って記載(多数に及ぶため)。
※ 「関連組織」の( )には略称、[ ]には関連する下部組織を記載。
※1 ホンダ本社の役職者と本田技術研究所の人物を除く(兼務者が多数に及ぶため)。
※2 ホンダ所有のサーキット。第1期と第2期に主要なテストコースとして用いられた。
※3 ホンダ所有の展示施設。第1期から第4期の車両を所蔵(基本的に動態保存)している。
アイルランドの旗 ジョーダン・グランプリ イギリスの旗
創設者
主なチーム関係者
主なドライバー
F3000ドライバー
F1マシン
主なスポンサー