尾上菊之丞

尾上 菊之丞(おのえ きくのじょう)は、日本舞踊尾上流名跡

初代

初代尾上 菊之丞1909年1月31日 - 1964年8月13日)本名は羽鳥友吉。

東京生まれ。尾上流を創流し初代家元となった歌舞伎の尾上宗家・六代目尾上菊五郎の部屋子で、1919年7月に尾上琴次郎の名で歌舞伎役者として初舞台。1921年舞踊に転向、藤間流5代目宗家藤間勘十郎に師事。1930年に名取となり、1948年に尾上流の二代目の家元を継承。音羽屋の踊りから花街のおどりなど活動。1954年に半年間の公演予定で渡米、1964年8月にも公演でハワイを訪れた際死去。墓所は台東区寛永寺。振付作に「二人椀久」「石橋」「紀州道成寺」など。

二代目

二代目尾上 菊之丞1943年4月6日 - )本名は羽鳥紀雄。

東京生まれ。初代の甥。9歳で初代に師事。1964年に六世藤間勘十郎に師事し、三代目尾上流家元を継承した。1966年青山学院大学経済学部卒業。

尾上梅幸監修のもと、大阪花の万博(1990年)、スペイン・セビリア国際万博(1992年)の振付を行い、1992年の万博には自らも出演している。1997年の歌舞伎パリ公演には、中村雀右衛門・中村富十郎の振付師として同行した。2005年の愛・地球博では日本館イベント『創生・歌舞伎をどり』をプロデュースしている[1]

2011年の長男の継承に伴い、自身は初代尾上墨雪を名乗る。2018年旭日小綬章を受章。女優尾上紫は娘。

三代目

三代目尾上 菊之丞1976年3月29日[2] - )

東京生まれ。二代の長男で、姉は日本舞踊家で女優の尾上紫。青山学院大学文学部中退[3]

2歳より二代に師事。1981年に「松の緑」で初舞台。1990年に尾上青楓の名を許され、本格的に活動を開始。2011年に三代目菊之丞を襲名し四世家元を継承した。

歌舞伎の振付師としては菊五郎劇団と関わりが深く、「風の谷のナウシカ」、スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」などの新作歌舞伎やフィギュアスケートとのコラボレーションの「氷艶」の振付を手がけており、宝塚歌劇団OSK、花街舞踊の振付・演出も行っている[4]。2020年7月より、八世藤間勘十郎とCAMPFIREコミュニティでオンラインサロンを運営している[5]

脚注

  1. ^ “尾上流|尾上墨雪|プロフィール”. onoe-ryu.com. 2024年4月19日閲覧。
  2. ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.503
  3. ^ 堀井宏悦 2013, p. 544
  4. ^ “尾上流|尾上菊之丞|プロフィール”. onoe-ryu.com. 2020年12月24日閲覧。
  5. ^ “日本舞踊!?歌舞伎舞踊!?日本人なら知っておきたい話がいっぱいの古典芸能サロン”. community.camp-fire.jp. 2020年12月24日閲覧。

参考文献

  • 藤田洋『日本舞踊ハンドブック改訂版』三省堂、2010年、92頁
  • 森洋三『東京新聞』2011年6月11日
  • 堀井宏悦 編『読売年鑑2013年版』読売新聞東京本社、2013年(2013年3月27日発行)、全768頁。ISBN 978-4-64-313001-0。"青山学院大文中退"。 

外部リンク

  • 日本舞踊 尾上流
  • 尾上菊之丞 (@mk5LNdlwJWoJVXS) - X(旧Twitter)
  • 尾上菊之丞 (@kikunojoonoe3) - Instagram
  • 日本舞踊!?歌舞伎舞踊!?日本人なら知っておきたい話がいっぱいの古典芸能サロン - CAMPFIRE Community
 
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  • 1951: 三代目中村時蔵
  • 1952: 二代目市川猿之助
  • 1953: 三代目市川寿海
  • 1954: 三代目阪東寿三郎
  • 1956: 三代目市川左団次
  • 1962: 六代目中村歌右衛門
  • 1966: 七代目尾上梅幸・八代目坂東三津五郎
  • 1969: 十七代目中村勘三郎
  • 1970: 二代目中村鴈治郎
  • 1972: 十三代目片岡仁左衛門
  • 1974: 八代目松本幸四郎
  • 1975: 七代目中村芝翫
  • 1981: 四代目中村雀右衛門
  • 1982: 三代目實川延若
  • 1984: 十七代目市村羽左衛門
  • 1985: 二代目中村吉右衛門
  • 1986: 二代目中村扇雀
  • 1987: 五代目中村富十郎・七代目尾上菊五郎
  • 1988: 片岡孝夫
  • 1989: 十二代目市川団十郎
  • 1990: 八代目中村福助
  • 1991: 九代目坂東三津五郎
  • 1993: 五代目中村松江
  • 1996: 二代目中村又五郎
  • 1999: 五代目中村勘九郎
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太字は恩賜賞受賞者。名跡は受賞時のもの。表記揺れによる混乱を避けるため漢字は便宜上すべて新字体に統一した。