バーゼル条約

曖昧さ回避 この項目では、有害廃棄物の国境を越える移動を規制したバーゼル条約について説明しています。スイスの独立を認めた条約については「バーゼルの和約 (1499年)」を、フランス革命戦争の講和条約の条約のうちの1つについては「バーゼルの和約 (1795年)」をご覧ください。
有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約
通称・略称 バーゼル条約
署名 1989年3月22日
署名場所 バーゼル
発効 1992年5月5日
(日本について効力発生:1993年12月16日)
寄託者 国際連合事務総長
言語 アラビア語中国語英語フランス語ロシア語スペイン語
条文リンク 1 (PDF)2 (PDF)3 (PDF) - 外務省
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会議の参加国

バーゼル条約(バーゼルじょうやく、英語: Basel Convention)は、正式には「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(ゆうがいはいきぶつのこっきょうをこえるいどうおよびそのしょぶんのきせいにかんするバーゼルじょうやく、英語: Basel Convention on the Control of Transboundary Movements of Hazardous Wastes and their Disposal)」といい、一定の廃棄物国境を越える移動等の規制について国際的な枠組みおよび手続等を規定した条約である。

概要

国連環境計画(UNEP)が1989年3月、スイスバーゼルにおいて採択、1992年5月5日発効。2015年5月現在,締約国数は181か国,EU及びパレスチナ[1]

日本は1992年に国内法(特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律、通称バーゼル法)を制定し、1993年に加盟している。バーゼル条約上の日本における「中央連絡先」としては外務省地球環境課が、「権限のある当局」としては環境省環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課[1]が指定されている。

条約に定められた業務(締約国への通報等)を行うため、ジュネーブに事務局が設置されている。事務局職員の人事権はUNEPが有している[1]

日本法においては、国会承認を経た「条約」である。

規定

バーゼル条約は、前文,本文29か条,末文及び9の附属書(ただし,附属書VIIについては未発効)からなり、その主たる規定は次の通り。

  1. この条約に特定する有害廃棄物およびその他の廃棄物(以下、本資料において「廃棄物」という。)の輸出には、輸入国の書面による同意を要する(第6条1項-3項)。
  2. 締約国は、国内における廃棄物の発生を最小限に抑え、廃棄物の環境上適正な処分のため、可能な限り国内の処分施設が利用できるようにすることを確保する(第4条2項(a)および(b))。
  3. 廃棄物の不法取引を犯罪性のあるものと認め、この条約に違反する行為を防止し、処罰するための措置をとる(第4条3項および4項)。
  4. 非締約国との廃棄物の輸出入を原則禁止とする(第4条5項)。
  5. 廃棄物の南極地域への輸出を禁止する(第4条6項)。
  6. 廃棄物の運搬および処分は、許可された者のみが行うことができる(第4条7項(a))。
  7. 国境を越える廃棄物の移動には、条約の定める適切な移動書類の添付を要する(第4条7項(c))。
  8. 廃棄物の国境を越える移動が契約通りに完了することができない場合、輸出国は、当該廃棄物の引き取りを含む適当な措置をとる(第8条)。
  9. 廃棄物の国境を越える移動が輸出者または発生者の行為の結果として不法取引となる場合には、輸出国は、当該廃棄物の引取を含む適当な措置をとる(第9条2)。
  10. 締約国は、廃棄物の処理を環境上適正な方法で行うため、主として開発途上国に対して、技術上その他の国際協力を行う(第10条)。
  11. 条約の趣旨に反しない限り、非締約国との間でも、廃棄物の国境を越える移動に関する二国間または多数国間の取決めを結ぶことができる(第11条)。

ブラウン管、使用済ニッケル電池カドミウム電池などを、有害廃棄物として条約で定めた[2]。2019年には廃プラスチック類が規制対象に加わった。[3]

背景

1976 年にイタリアの農薬工場の爆発事故(セベソ事件)によって猛毒物質が発生し、この事件を軽視した工場や自治体は対応が遅れ、近隣住民や土壌に甚大な被害をもたらした。

その土壌がフランスで発見されヨーロッパ全体で有害物質の越境移動の規制が検討され始める。

また 1988 年にイタリアなどからナイジェリアに持ち込まれた有毒廃棄物の不法投棄による汚染被害(ココ事件)が発生した。

その後もこのような、処理に手間がかかる有害物質をアフリカなどの規制の緩い途上国において不法投棄するような事件が頻発したことを受け、経済協力開発機構(OECD)と国連環境計画(UNEP)により、本条約に関する話し合いが本格的に始まった。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c “バーゼル条約”. 外務省. (2017年9月13日). https:///www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/basel.html 2019年6月12日閲覧。 
  2. ^ 池上彰監修『ニュースに出てくる国際条約じてん 4環境』彩流社、2014年 ISBN 9784779150111
  3. ^ “2019年5月のバーゼル条約の改正内容は?汚れたプラスチックごみの輸出規制が強化| 環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報サイト おしえて!アミタさん”. www.amita-oshiete.jp. 2020年1月10日閲覧。

参考文献

  • 石野耕也・磯崎博司・岩間徹・臼杵知史編『国際環境事件案内――事件で学ぶ環境法の現状と課題』(2001・信山社出版)
  • 水上千之・西井正弘・臼杵知史編『国際環境法』(2001・有信堂高文社)

関連項目

外部リンク

  • 「バーゼル条約」(原子力百科事典 ATOMIKA)
  • 環境省関連ページ
  • 外務省関連ページ
  • 経済産業省関連ページ
  • バーゼル条約事務局ページ
  • (財)日本環境衛生センター(リサイクル品などの輸出入に関するバーゼル法規制の事前相談)
  • 『バーゼル条約』 - コトバンク
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