振動

振動するばねと重り

振動(しんどう、英語: oscillation)は、周期運動(periodic motion)の一種。状態が一意に定まらず揺れ動く事象をいう。英語では、重力などによる周期が長い振動と、弾性分子間力などによる周期の短い振動は別の語が充てられる[1]が、日本語では周期によらず「振動」という語で呼ばれる。周期性のある振動において、単位時間あたりの振動の数を振動数(または周波数)、振動のふれ幅を振幅、振動の一単位にかかる時間を周期という。

概要

振動は、同じ場所での物質周期的な運動であるが、物理学においてさまざまな現象の中に現れ、基本的な概念の一つとして扱われる。物理的にもっとも単純な振動は単振動である。また、振動する系はそれぞれ固有振動(数)をもつ。振動の振幅を減少させる要因がある場合には、振動が次第に弱まる減衰振動となる。外部から一定の間隔で力を与えることなどにより振動を引き起こすことを強制振動とよぶ。強制振動の振動数がその系の固有振動数に近い場合、共振(または共鳴とも)を引き起こす。

振動・波・回転三角関数の関係

振動は、自然現象の理解において、なくてはならない基礎的な概念である。波動は、空間的な広がりをもつ振動であると解釈することができ、と振動は相互作用することが多い。古典物理学だけでなく、電磁気学では、電気回路電場磁場の振動を扱う。

公害としての振動

物が振動すると、音や衝撃を発生させるため、強度の振動は構造物や人体に重大な影響として現れる。この振動が発生する原因としては、自動車や工事などの機械による振動や、地震などの自然原因による振動などがある。

日本では振動は環境基本法で定義されている公害のひとつであり、振動規制法によって規制される。主に、幹線道路や鉄道を走行する車両、工場の機械設備や土木建築現場の建設機械などの作動によって引き起こされ、周辺住宅などに与える振動は公害とみなされる。

また上記の公害とは別に、回転機器などにおいては、固有振動と一致すると共振によってより大きな振動となり破損にいたることもある。

事象の大きさによる分類

数学における振動

数学においては、関数や数列の極限が定まらないとき、振動するという。極限振動 (数学)(英語版)を参照。

代表例

力学

量子力学

熱力学

気候と地球物理学

化学

電気回路

音響

光学と電磁気学

  • レーザー電磁場 10 15 {\displaystyle 10^{15}} Hzのオーダーでの振動)
  • 戸田振動子 (en:Oscillator Todaまたは自励発振 (en:self-pulsation)( 10 4 {\displaystyle 10^{4}} Hz -- 10 6 {\displaystyle 10^{6}} Hzの周波数を出力にもつパルスレーザー発振)
  • 量子振動子 (en:Quantum oscillator) は量子光学において光学的な局部発振器を指すことがある

生物学

人体

  • 脳波
  • 心拍
  • インスリン振動 (en:Insulin release oscillations)
  • パイロット誘起振動 (en:Pilot-induced oscillation)
  • 発声

経済と社会

その他

  • 力学的な意味で振動が起こっているわけではないが、振動という語が使用される物理現象としては、ニュートリノ振動がある。

脚注

  1. ^ Webster Dictionary, 1913[1]

関連項目

外部リンク

1971年、神鋼電機(現・シンフォニア テクノロジー)の企画の下で東京文映が制作した短編映画。
公害
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騒音
規制法
その他
水質汚濁
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